左肩の痛みとしびれ感を訴える人が急増
最近、ゴルフのプレー後に左の肩甲骨内側の痛みや、肩の痛み、腕の痛みやだるさを感じるゴルファーが急増しています。(下図参照)
こうしたゴルファーは共通して、左肩は前方に巻き込み、右に首をかしげ、左肩が下がっている姿勢になっています。
加えて、プレー後にストレッチなどをすると痛みやだるさが一時的に緩和されることもありますが、当日の夜や翌日に痛みやだるさが増します。
※これは右打ちのゴルファーの特性で左打ちのゴルファーは左右が逆になります。
痛みが出るのは何故か?
このような状態をゴルフのスイングに起因するトラブルの為、スイングショルダー(ゴルフ肩)と名付けました。
ゴルフのスイングでは、上図の様にテークバックをする際に、左の肩甲骨や肩についている筋肉(菱形筋・広背筋・大円筋など)が引き伸ばされます。また、スイング時に頭を動かさないようにするため、上半身に対して首のねじれは強くなります。
こうして一旦、引き伸ばされた筋肉がスイングの始動と共に収縮を始め、「伸張→収縮」といった急激な負荷を受けます。こうした負荷の連続が肩甲骨に付着する筋肉や肩、首、腕の筋肉にトラブルを起こし痛みとなって現れるのがスイングショルダー(ゴルフ肩)です。
更に詳しく説明すると、テークバックの際に左肩や肩甲骨の前側の筋肉(大胸筋、小胸筋、前鋸筋、肩甲下筋)は後ろとは逆に収縮します。
この時に、体をもっと回そうとしたり、頭を残そうとしたり、トップを高くしようという意識が強いと、腕で押し込んだり、肩を巻き込んだりするので、上記の筋肉をより緊張、収縮させてしまいます。
それにより、後ろ側の筋肉は余計に伸ばされるのです。
前後の筋肉バランスが崩れることで、関節の安定性も低くなります。
関節の働きとして、不安定な関節は力をうまく発揮できません。
また、筋肉の働きとして、緊張した筋肉の反対側の筋肉は弛緩し、力がうまく発揮できなくなってしまいます。
切り返しからダウンスイングの瞬間に、肩の前側の筋肉はさらに収縮し、後ろはより伸ばされることにより、筋肉のアンバランスと関節の不安定がより増してしまうのです。
その状態でスイングをすることで、後ろの筋肉や関節に負担がかかり、スイングショルダー(ゴルフ肩)は発症するのです。
そして、あまりにひどくなると、軟骨などの関節自体に損傷を起こすこともあるのです。
メカニズムや原因を考えると、スイングショルダー(ゴルフ肩)は、プロから初心者まで起こりうる障害といえます。実際にプロから初心者までの方が、私のところに相談にいらっしゃいます。
スイングショルダー(ゴルフ肩)を悪化させる要因
テークバックの際は身体全体に大きな捻れが加わります。
股関節、腰、背中に加え(上半身に対して相対的に)首を使って身体を捻ります。
この時に、股関節の動きが硬い、腰を上手く使えない、手打ちになる、などの悪条件が重なるとテークバックの動きを肩でカバーする必要があります。
ですので、肩をより深く内に巻き込む必要があり、肩甲骨の内側の筋肉は過度に伸ばされ、障害を受けやすくなります。
また、それに伴って胸椎と肋骨の関節もストレスを受けます。
肩、肩甲骨、肋骨、胸椎と併せてトラブルを起こすためスィングショルダー(ゴルフ肩)の痛みはより悪化します。
普段の姿勢が悪く、股関節、腰、胸椎などスイングに関わる関節の可動域の低下が起きている人は要注意です!!
より体を回そうと上半身を使ってしまうので、リスクは格段にUPします!!
また、スイングの課題を過剰に意識してスイング練習をすることにより、余計に動かしたり、止めたりすることで、軸を狂わせることも大きな原因の一つです。
スイングショルダー(ゴルフ肩)は、体の動きの問題、過剰な意識の問題が起因している障害なのです。
ストレッチは逆効果!
スイングショルダー(ゴルフ肩)を悪化させる要因で、意外だと思われるものは、ストレッチです。
ストレッチをすると瞬間的には痛みが誤魔化されますが、後方の筋肉は、伸ばされて障害を起こしている状態なので、患部の筋肉を伸ばすような事は殆どが逆効果です。
また、伸ばそうと意識すると、逆の働きをする筋肉を過剰に収縮させることが多く、それもまた悪化する要因になります。
スイングショルダー(ゴルフ肩)の根本的な原因は「身体の軸」の崩れと、過剰な意識にあるので、体の動きと動かし方を修正することが必要なのです。
➀緊張した筋肉と弛緩した筋肉のバランス。
➁関節のアンバランス。
➂スイングの過剰な意識
これらにより軸は崩れ、軸が崩れると構造や運動のバランスも崩れ、無理な状態でのスイングになります。ですので、身体の軸を整え、それぞれの筋肉をうまく働かせ、体の使い方の修正をし、筋肉と関節をより正常な可動域で動かせるようにする事が重要です。
最後にもう一度言います。
スイングショルダー(ゴルフ肩)は、体の動きの問題、過剰な意識の問題が起因している障害なのですので、それらの修正が必須です。
スイングショルダー(ゴルフ肩)チェック
・プレー後に肩甲骨の内側に痛みを感じる
・プレー後に首周辺が重くなったり痛んだりする
・利き手と逆の肩が下がっている(右打ちなら左肩 左打ちなら右肩)※痛みの為でもある
・肩から腕にかけての痛みや痺れを感じる
・ゴルフ肘(ゴルファーズエルボー)や腱鞘炎の経験がある
・股関節が硬く腰が回転しない
・猫背や肩の可動域が狭く感じることがある
・スイングで修正しようとしていることがある
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