症状
右腰と臀部、下肢にかけての痛みを訴えて来院。
慢性的な腰痛があり、朝起きた時や長時間座った後に動き出すと痛みがある。
ゴルフのラウンド中に腰に違和感が出はじめ、怖々と何とかまわったが、ティーを刺す時やボールを拾う時に「ぎっくり腰」をやるんではないかと不安だった。
ラウンドを終えてしばらくすると、右腰から下肢にかけて痛みが出はじめ、帰宅した時には痛みとしびれになっていた。
整形外科ではレントゲンでは問題はなく、坐骨神経痛と診断を受け、痛みどめとビタミン剤を処方された。
今も痛みは変わらない。
検査
検査時の姿勢は前傾で左に傾き、右に体重を掛けないようにしていた。
右下肢の知覚が若干減少。
筋力は痛みのために測定できなかった。
反射は正常であった。
動きでは右回旋と右側屈で右の股関節周りの制限がみられ痛みの再現。
触診では右の臀部に圧痛とそれによる痛みとしびれの再現があった。
また、痛みの部位の反応から右の腸腰筋の過緊張、その右をかばうために左の腸腰筋や殿筋の過緊張がみられた。
施術
施術では、かばっている左の筋肉の過緊張と右の腸腰筋の過緊張を取り除いた。
その後に左の骨盤と腰椎、胸腰部へアプローチしたことで、右の梨状筋の過緊張が緩んできた。
右の内転筋や外転筋のバランスをとり、少しづつ右の股関節と骨盤へ施術をしていった。
6回の施術でしびれは無くなり、可動域も戻った。
分析
今回のケースは、普段のデスクワークによる慢性的な腸腰筋の過緊張と猫背が原因のものでした。
左右さもあり、右の梨状筋が伸張されることで右の坐骨神経を圧迫して症状が出たのでしょう。
この方はさらに、椎間板への負担も考えられ、硬膜での圧迫もあり症状がひどかったと考えられます。
右をかばうことで、左の筋肉が過緊張し、それが原因でさらに右の梨状筋の伸張は強くなっていきます。
この一連のメカニズムが今回の原因と考えられます。
デスクワークが長い方は、腸腰筋の慢性的な過緊張があることが多いです。
長時間座ってから立つときに腰が伸びづらいなどの症状がある方は特に要注意ですので、仕事の合間、家出の合間、ラウンド前後には、腸腰筋のストレッチをやるようにしましょう。